(左 fuji X-S10 :右 nikon Z50)
APSミラーレスカメラの「fuji X-S10」と「nikon Z50」を実際に購入したのでレビューします。
結論から言うと
- カメラボディ性能は「fuji X-S10(ボディ単体)」の方が高い
- レンズキットを含めて比較すると「nikon Z50(ダブルレンズキット)」の方が画質がいい
今回、比較した2機種は一般的には性能が高く画質がいい。両機種とも10mくらいの距離で撮影すると綺麗に撮影できるので性能の差が出にくい。
そこで、敢えて1000mの距離から着陸態勢の航空機(推定時速250km)を手持ちで撮影し、一部を拡大(トリミング)して画質を比較しました。(レジ番号のみ加工)
fuji X-S10(レンズ XC50-230mm)
nikon Z50(レンズ NIKKOR Z DX 50-250mm)
fuji X-S10のボディ性能はAPS-C機では最高峰で、キットレンズの「XC50-230mm」も一般的にみれば画質はいいと思う。
しかし、拡大して比較するとZ50+キットレンズ(望遠)の方が画質がいい。Z50のキットレンズは、他社の高級レンズに匹敵するほど性能が高い。
上記写真の元画像(横幅700ピクセルまで縮小)
fuji X-S10(レンズ XC50-230mm)
nikon Z50(レンズ NIKKOR Z DX 50-250mm)
横幅700ピクセルまで縮小すると、画質の差はほとんどないので、L版プリントやSNS用ならfuji X-S10(レンズ XC50-230mm)でも十分高画質だと思う。
したがって、fuji X-S10(レンズ XC50-230mm)しか持ってないなら「綺麗に撮影できる」と思うのはある意味正しい。
しかし、Z50と比較すると、やはり、Z50の方が高画質と言える。一部をトリミングして拡大することがあるならZ50+キットレンズ(望遠)の方がいいと思う。
また、実際の重さはZ50の方が15g重いが、手持ちで望遠撮影するならZ50の方が取り回しがいい。
- fuji X-S10(レンズ XC50-230mm)合計重量840g
- nikon Z50(レンズ NIKKOR Z DX 50-250mm)合計重量855g
コメント
fuji X-S10はボディ内手ブレ補正やセンサークリーニングが搭載されておりボディ性能が高く、XFレンズと組み合わせるとAPS-C機の最高峰と言っていいくらい画質がいい。
特に、単焦点レンズでポートレートを撮影するならAPS-Cカメラとしては最高画質だと思う。
ただし、fuji X-S10+XFレンズ2本で25万円~30万円になる。
またXF16-55mm F2.8レンズの重さは655g、値段は約12万円と、fujiの高性能レンズは重くて値段が高い。
そこまでのこだわりがない一般ユーザーなら、合計14万円のダブルレンズキットだけで綺麗に撮影できるZ50の方がいいと思う。
「XC15-45」と「XC50-230」
フジのキットレンズの標準レンズ「XC15-45」は、望遠レンズ「XC50-230」よりも性能が高いと思う。
もちろん、XFレンズと比較すると「XC15-45」レンズは画質が落ちるが、どのXFレンズを購入するか決まっていない場合は、「XC15-45」レンズを購入するといいかもしれない。
2023年1月にXC15-45の最新ファームウエア「Ver.1.10」が公開された。
発売当初は、電源OFFすると以前の焦点距離に復帰しなかったり、EVFに焦点距離の数字が表示されなかったが、今では改善されている。
以前よりも使い勝手がよくなっている。
fuji X-S10
機材 | 重さ | 価格 |
fuji X-S10(ボディ) | 465g | 12万円 |
XF16-80mm | 440g(カメラ込905g) | 9万円 |
XF70-300mm | 580g(カメラ込1,045g) | 10万円 |
合計 | 1,485g(合計) | 31万円(合計) |
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nikon Z50
機材 | 重さ | 価格 |
nikon Z50(ボディ) | 450g | 合計14万円 |
Z DX 16-50mm | 135g(カメラ込585g) | |
Z DX 50-250mm | 405g(カメラ込855g) | |
合計 | 990g(合計) |
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ボディ+レンズ2本の合計の重さは「X-S10」は1,485g、「Z50」は990gと「Z50」の方がかなり軽い。
nikon Z50は「キットレンズ」の性能は高く、Z50(カメラボディ)と標準と望遠の2本のダブルレンズ(価格約14万円)だけで画質のいい写真や動画を撮影できる。
一方、fuji X-S10はカメラボディの性能が高いので、XFレンズを使用すると、APS-Cで最高画質の写真を撮影できる。しかし、標準ズーム(XF16-80mm 9万円)と望遠ズーム(XF70-300mm 10万円)の2本を買うとカメラボディと合計で30万円を超えてくる。
やはり、fuji X-S10を購入するなら、使用するレンズも決定してから購入する方がいいと思う。特に単焦点レンズでポートレート撮影するなら「fuji X-S10」の方がいいと思う。
Z50用の「Z DX レンズ」はキットレンズの2本と12-28mm超広角レンズ(2023年5月発売)、18-140mm高倍率ズームレンズの4本しかない
それ以外はフルサイズ用のレンズを使用するか、アダプター(FTZ 重さ135g 約3万円)を装着してDXレンズを使用することになるのでシステムが複雑になる。
軽量という理由でZ50を購入したのに逆に重くなるのは納得がいかない。
したがって、単焦点レンズでポートレート撮影するならば、FUJIのX-S10の方がいいと思う。
予算14万円ならば「Z50のダブルズームキット」がお勧めだが、Z50にはセンサークリーニングがついていないので野外で頻繁にレンズを交換する人には不向き。
また、Z50にはボディ内手ブレ補正もないが、キットレンズのレンズ内手ブレ補正が強力なのでキットレンズを使用する限り問題はない。
「fuji X-S10」と「OM-D E-M5 MarkⅢ」
このブログ以外に、旅行や風景などをテーマとしたブログを運営しており、超広角レンズで撮影する必要があった。
小型軽量、軍艦型ファインダー、ボディ内手振れ補正、センサークリーニングを搭載した機材は「OM-D E-M5 MarkⅢ」、レンズは「LUMIX8-18mm」くらいしか選択肢がなく購入したが、AF性能が悪いのが不満だった。
その後、2020年11月、fuji X-S10が新発売されたので、 新型の超広角レンズXF10-24mmと共に購入した。(ダブルレンズキット14万円+超広角レンズ12万円=26万円)
すでに、標準用と望遠用にZ50ダブルレンズキットを購入していたので、fuji X-S10のキットレンズ(標準と望遠)を使用する予定はなかったが、レンズキットの方が割安だったためfuji X-S10のダブルレンズキットを購入した。
超広角レンズで撮影をするためにfuji X-S10を購入したが、そうでなければZ50ダブルレンズキット(実売14万円)だけで十分満足できたと思う。
fujiのX-S10の方がカメラボディの性能は高いので「気に入ったレンズがある」「超広角で風景を撮影したい」「単焦点レンズでポートレートを撮影したい」「センサークリーニングが必要」など明確な撮影目的があるならば、トータルの値段は高くなるが「fuji X-S10」を購入した方がいいかもしれない。
逆に言うとそこまでの「こだわり」がなく、一般的用途であれば「Z50」のダブルレンズキットの方がコスパがいいと思う。
ただし、Z50にはセンサークリーニングは搭載されていないので、野外で頻繁にレンズ交換することには躊躇する。
基本的には、FUJI X-S10に超広角レンズ(XF10-24)を装着して撮影することが多い。Z50は標準~望遠用に使用しているが、旅先でもホテルの客室内でZ50のレンズ交換しており、野外でレンズ交換することはほとんどない。
Z50に「センサークリーニング」と「ボディ内手振れ」を搭載し、超広角レンズも発売されればいいが、そうではないのでX-S10も併用している。
X-S10とXF10-24の組合せは、画質がいいので、重要な撮影では必要になってくる。
しかし、普段、持ち歩くにはちょっと重いので、OM-D E-M5 MarkⅢを使用することもある。
「Z50」「X-S10」「OM-D E-M5 MarkⅢ」の3台を使っていても悩むのだから、どれを選択しても、ちょっとした不満はどの機種にもあると思う。
SNSやL版プリントなら大きな画質の差はないがPCで見るとやっぱり差があるわけで、高性能な機材の方が満足感が高いのも事実。
結局、すべての人が100%満足するカメラはなく、どこかで妥協しないといけない。
- 超広角撮影がメインならば、X-S10+(XF10-24)
- 望遠撮影がメインならば、Z50+(DX 50-250mm)
- 標準レンズの広角側をよく使うならば、Z50+(DX 16-50mm)
- 標準レンズの広角側を使わないならば、X-S10+(XF 18-55mm)
- 単焦点レンズを使うならば、X-S10+(単焦点レンズ)
感想
fuji X-S10はXFレンズと組み合わせると、圧倒的に画質がいい。しかしXCレンズではZ50のキットレンズよりも画質がよくないし、防塵防滴でもない。
結局、オールマイティで性能が高いカメラは存在しない。撮影する被写体、撮影条件によって最適なカメラは違う。
実際に「fuji X-S10」と「nikon Z50」を購入・使用しているが、一般的な用途なら「Z50のダブルレンズキット」がいいと思う。
しかし、Z50はセンサークリーニング機能がなく、野外で頻繁にレンズ交換するのには躊躇する。
もし、野外で頻繁にレンズ交換するのならば「fuji X-S10」がいいが、高額なXFレンズでないとその性能を引き出せない。
予算的に14万円ならば「Z50のダブルレンズキット」、25万円~30万円ならば「fuji X-S10」と「XFレンズ1本」がいいと思う。
OM-D E-M5 MarkⅢは、防塵防滴、軽量、センサークリーニングが高性能というメリットがあり、登山など1gでも軽くしたいという場合にはいいと思う。
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X-S10を購入後、XF10-24mmレンズのみで撮影をしていたが、APS-Cとしては最高クラスの解像感で素晴らしかった。
その後、キットレンズ(XC)で試し撮りしたが、XFレンズに比べると残念な画質だったのでXCレンズについてはちょっと厳しめのレビューになっているかもしれません。
キットレンズ(標準)の比較
fuji x-s10(レンズXC15-45mm)の作例
Z50(NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR)の作例
標準キットレンズで室内撮影して比較すると、Z50の方がわずかだが画質がいいように見える。しかし、はっきりした差はない。
そこで、同じ標準キットレンズで800m~1km距離先の飛行機を撮影して中央部を拡大(トリミング)して比較します。
X-S10(XC15-45:焦点距離45mm)中央部をトリミング
Z50(DX 16-50mm:焦点距離50mm)中央部をトリミング
Z50(DX 16-50)の焦点距離は50mm(換算75mm)で望遠に有利ではあるが、それを考慮してもZ50の方が画質がいい。
コメント
fuji X-S10のカメラボディ単体は高性能だが、キットレンズ(XC)ではその性能を十分に発揮できない。
画質を追求するなら、XF16-80mm(実売9万円・440g)、XF70-300mm(実売10万円・580g)、単焦点レンズが必要となる。
一方、Z50はボディ内手振れ補正は搭載されていないが、キットレンズの手振れ補正が優秀なので、ダブルズームレンズキットを購入すれば、それだけで高画質で撮影できる。
fuji X-S10を購入するならXC15-45のレンズキットを購入して、撮影目的にあったレンズを追加購入するといいかもしれない。