某ユーチューバーが「フルサイズの方がAPS-Cより画質がいい」と言っている。
しかし、SNS用の写真ならば横幅1000ピクセルくらいまで縮小するので、フルサイズとAPS-Cとの違いは分からない。
某ユーチューバーは「フルサイズとAPS-Cの比較画像」を1枚も出していない。
多分、ユーチューブでは、フルサイズとAPS-Cの違いが分からないから、出さなかったのだろう。
当ブログ撮影「ソニーα7Ⅳ(フルサイズ)」と「FUJI X-S10(APS-C)」の比較画像
jpegの撮って出し画像を比較
(横幅700ピクセルまでリサイズ)
ソニーα7Ⅳ(30万円)+GM16-35mm(24万円)=54万円
X-S10(14万円)+XF10-24mm(12万円)=26万円
SNS用に横幅700ピクセルまで縮小すると、ソニーα7Ⅳ(フルサイズ)もフジX-S10(APS-C)も画質の違いはない。
結論
SNS用に縮小するならば、フルサイズもAPS-Cも画質に違いはない。
暗所などフルサイズの方がノイズが少ないが、今後、AI画像編集ソフトが進化するので、APS-Cの画質は限りなくフルサイズに近づく。
PCで見ればフルサイズの解像感は高い
もちろん、PCでピクセル等倍に拡大すれば、フルサイズの方が解像度は高い。
趣味とは自己満足の世界だから、PCで見て「フルサイズの解像感はすごい」って言うために、フルサイズを購入するのは否定はしません。
しかし、その自己満足を必要としない人も多いと思う。
また、GMレンズはPCで見て圧倒的な解像感が分かるが、Gレンズならばフルサイズと言ってもFUJIのAPS-Cレンズ(レッドバッチ)と大差ない場合がある。
トリミングして比較(中央部分横幅30%)
横幅700ピクセルまでリサイズすると違いが分からないので、中央部分を拡大して比較します。
α7Ⅳ
X-S10
フルサイズ機はトリミング耐性が高いと言われる。
しかし、中央部分の横幅30%をトリミングした場合、ソニーα7Ⅳ(フルサイズ)とフジX-S10(APS-C)の画質の差はあまり感じない。
SNSに掲載するならば、横幅30%をトリミングしても「FUJI X-S10」で十分な画質だと思う。
背景ボケ
ソニーα7Ⅳ(フルサイズ)の方が「ボケ」やすい。
しかし、背景もくっきり撮影したい場合は、フジX-S10(APS-C)の方がいいと思う。
トリミングして比較(中央部分横幅10%)
中央部分横幅30%では、フルサイズもAPS-Cも違いがなかったので、現実にはしないと思うが、中央部分の横幅10%をトリミングして比較してみました。
ソニーα7Ⅳ(30万円)+GM16-35mm(24万円)=54万円
X-S10(14万円)+XF10-24mm(12万円)=26万円
中央部分(横幅10%)で比較するとソニーα7Ⅳの方が解像度が高い。
しかし、それはソニーの最高級GMレンズ(24万円)を使用した場合であって、Gレンズではここまで画質の差はないかもしれない。
また、中央部分(横幅10%)だけを切り出す(トリミング)することは、ほとんどないので、現実的な比較ではない。
ただ、PCでピクセル等倍で比較するとソニーα7Ⅳの方が解像度が高いので、自己満足感はあると思う。
ニコン「Z8」と「Z50」を比較
(焦点距離が違うレンズを使用してるので、正確な比較ではないですが、参考までに)
ニコンZ8(レンズ Z 24-70mm F2.8)
ニコンZ50(レンズ Z DX 12-28mm)
Nikon Z8 と Z50を比較しても、SNS用に縮小すると明確な違いはないように見える。
もちろん、拡大してみると、Z8の方が黒(暗所)がくっきりしており、Z50は暗所にノイズがのっている。(下の写真を参照)
その他、AFの速さや正確性などZ8の方が圧倒的に高性能だと思うが、SNS用に縮小するならば、画質に大きな差はないように思う。
上の写真の一部を10倍拡大して比較
ニコンZ8(レンズ Z 24-70mm F2.8)
ニコンZ50(レンズ Z DX 12-28mm)
暗所部分を拡大するとZ8の方が画質がいい。Z50はノイズがのっているのが分かる。
しかし、これも10倍に拡大してはじめてわかる差であって、SNS用に縮小すると差は分からないかもしれない。
以下は過去記事
フルサイズは不要?
「フルサイズカメラ」は、「APS-C」規格よりもセンサーサイズが大きく、一般的に画質がいい。
しかし、日中に屋外で撮影するならば、フルサイズとAPS-Cの画質の差はほとんどない。
暗所などではフルサイズの方が画質がいいが、APS-CでもF1.8などF値の低い単焦点レンズを使用することで、APS-Cのデメリットを克服できる。
したがって、個人の趣味の範囲ならば、フルサイズは必要はない。
と思っていたが、ちょっと事情が変化してきた。
2023年の状況
2022年に発売された「キヤノンEOS R7」は、APS-Cカメラだが、重さは612gある。
「ソニーα7Ⅳ」はフルサイズでありながら、重さは658gとAPS-Cの「キヤノンEOS R7」と46gしか変わらない。
マイクロフォーサーズの「OM-1」の重さも600gで、重さという点で、以前よりもAPS-Cとフルサイズの差が小さくなっている。
レンズの重さを比較
品番 | 重さ |
ソニーFE 24-70mm F2.8 GM II | 695g(フルサイズ) |
ソニーFE 24-70mm F4 ZA OSS | 426g(フルサイズ) |
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S | 805g(フルサイズ) |
NIKKOR Z 24-70mm f/4 S | 500g(フルサイズ) |
フジXF16-55mmF2.8 R LM WR | 659g(APS-C) |
レンズの重さはフルサイズの方が重い。
しかし、一部のAPS-Cのレンズはフルサイズレンズよりも重い場合もある。
これは、メーカ各社がフルサイズのカメラやレンズの開発に集中しているためだと思う。
実際、レンズの種類はフルサイズの方が多く、APS-C用レンズは少ない。
例えば、ニコンのZマウントのAPS-C用レンズは3本、キヤノンのRF-SのAPS-C用レンズは2本しかない。(2023年1月現在)
レンズの選択肢という点からも、フルサイズを選択せざるを得ない場合もある。
キヤノンR7を考察
キヤノンのAPS-CミラーレスカメラR7のレンズキットの標準レンズは「RF-S18-150 IS STM」 で、焦点距離は換算29mmー240mmとなる。
広角側が弱いので、フルサイズ用レンズ「RF15-30mm」を使って「換算24mmー48mm」で撮影したい。
結局、APS-Cを購入しても、レンズはフルサイズを使うなら、レンズの性能を生かし切れていないし、レンズの値段も高い。
重さもAPS-Cの「キヤノンEOS R7」は612gだが、フルサイズの「ソニーα7Ⅳ」は658gと大差ない。
「キヤノンEOS R10」の重さは429gと軽量だが、ボディ内手振れ補正が非搭載なので、手振れ補正付きレンズを選択することが多くなると思う。
今のところ、キヤノンのAPS-Cレンズは2本で両方ともレンズ内手振れ補正付きだが、今後、手振れ補正のないレンズが発売されると、選択肢が少なくなる可能性もある。
2023年現在で言うと、高性能APS-Cカメラは軽量というメリットがあまりなく、むしろ、レンズが少ないというデメリットの方が目に付く。
価格差
一般的には、フルサイズの値段はボディ単体で30万円、高性能APS-C20万円とやはりフルサイズの方が10万円程度高い。
しかし、高性能APS-Cカメラを買っても、レンズが少ないためやむを得ず、フルサイズ用レンズを買うなら、APS-Cカメラとレンズのトータルの価格は思ったよりも安くはない。
例えば、「キヤノンEOS R7 RF-S18-150 IS STM レンズキットEOS R7」の価格は約22万円だが、「Lumix S5Ⅱの標準レンズキット(20mmー60mm)」は、実売28万円でキャッシュバック3万円を考慮すると実質25万円くらいになる。
価格の点でも、フルサイズとAPS-Cの差が少なくなってきている。
フルサイズのメリット
- ダイナミックレンジが広い
内容 | APS-Cの対策 |
日光が当たる部分は明るく、影は暗くなる。
日光が当たる部分に露出を合わせれば、影が「黒つぶれ」する。 逆に、影の部分に露出を合わせると日光が当たる部分は「白飛び」する。 しかし、フルサイズはダイナミックレンジが広いので「黒つぶれ」「白飛び」しにくい。 |
APS-Cはフルサイズよりもダイナミックレンジが狭く「白飛び」「黒つぶれ」しやすい。
しかし、露出の異なる写真を3枚撮影しカメラ本体で自動的に合成する「HDR撮影」や編集ソフトを使えば、APS-Cでも問題ない。 ただし、被写体が動く場合は「HDR撮影」は使えない。 もちろん、写真を納品するようなプロカメラマンならばフルサイズが有利ではあるが、一般的用途ならばAPS-Cで十分綺麗に撮影できる。 |
- 暗所に強い
内容 | APS-Cの対策 |
フルサイズはセンサーが大きいので光の量が多く、暗所でも綺麗に撮影できる。 | 確かに暗所については、フルサイズが有利ではあるが、拡大してみないと差はそれほど感じない。
SNS用に1,000ピクセルまでリサイズするのであれば、APS-Cで問題ない。 |
- (広角に強い)
内容 | APS-Cの対策 |
フルサイズはセンサーが大きいので「広角」を撮影しやすい。
|
APS-C用レンズは焦点距離がフルサイズ換算で約1.5倍となるので「広角」が撮影しにくい。
例えばAPS-C焦点距離10mmはフルサイズ換算で15mmになる。 価格は10万円だが、APS-C用超広角レンズ(35mm換算15mm)も販売されており、APS-Cでも問題なく「広角」撮影できる。 ちなみに、フルサイズの広角レンズは20万円以上する。 |
フルサイズのデメリット
フルサイズカメラは一般的に重くカメラ本体だけで600g~800gで、レンズも加えると1,300g~1,500gとなる。
一方、APS-Cカメラは本体400g~500gで、レンズ込でも600g~900gと軽い。
しかも、APS-Cカメラなら、焦点距離15mm(35mm換算)の超広角から600mm(35mm換算)の超望遠までのシステムが重量1,000g以下で完成する。
レンズ価格も、フルサイズ用のいいレンズだと1本20万円以上するが、APS-C用のいいレンズは1本10万円で購入できる。
当ブログの考え
当ブログ管理人は、旅行などで1日数時間歩きながら撮影するので、フルサイズカメラ(レンズと合計の重さ約1.5kg)は使わない。
もちろん、職業として写真撮影するなら、フルサイズを使用するメリットはあると思う。
しかし、趣味の延長として「撮影」するならば、APS-Cで十分綺麗に撮影できるので問題はない。
逆に、レストランやカフェでフルサイズカメラを持ち出して撮影する場合、カメラが大き過ぎて違和感を感じる。
また、重い機材だと、あと少しだけ遠くに行こうという気持ちにならす、シャッターチャンスを逃すこともあると思う。
したがって、フルサイズカメラは室内撮影や夜間撮影の頻度が高い場合に使用するといいと思う。
それ以外はAPS-Cで十分高画質に撮影できる。
結局、一般的な旅行や街歩きで撮影するならばAPS-Cの方が小型軽量で使いやすい。
いくらフルサイズが高性能カメラと言っても撮影現場に持ち出さないとその性能は発揮できない。
AI画像編集ソフト
AI画像編集ソフトが進化しており、APS-Cの弱点だった「暗所でのノイズ」などはAI画像編集ソフトを使用すると画期的に画質が改善する。
SNSやL版プリントするなら、フルサイズもAPS-Cも画質の差はない。