実際にX-S20を購入しました。(左:X-S20 / 右:X-S10)
X-S20新発売
富士フイルムは、新型APS-Cミラーレス一眼カメラ「X-S20」を2023年6月29日に発売した。
「X-S20」は、バッテリー容量を2倍に増強、AF性能や動画機能を向上させながら491gという小型軽量ボディを実現している。
センサーは「X-S10」と同じ「裏面照射型2,610万画素X-Trans CMOS 4センサー」だが、映像エンジンは「X-Processor 4」から「X-Processor 5」へ進化している。
2024年1月22日「ファームウェアVer.1.20」
富士フイルムは2024年1月22日、ミラーレスカメラ「X-S20」の最新ファームウェア「Ver.1.20」を公開した。
以前のファームウェア「Ver.1.13」では、超広角レンズ(XF10-18mm)でコントラストの低い被写体の場合、AFが合焦しない問題があったが、これが一応解決された。
ただ、カメラとしての完成度は80%くらいで、もう一段階の改善をして欲しい。
コメント
結論から言うと、スチル80%:動画20%の割合で使用するなら非常にいいカメラだと思う。
スチルカメラとしては90点~95点でAPS-Cカメラ最強だと思う。
動画性能
スチルの経験はあっても動画初心者なら初期設定のまま動画を撮影すると60点くらいで、18万円~20万円のカメラとしては物足りない。
具体的には、XF10-24のズームレンズの場合、カメラを動かすと一瞬AFを外すことが多く使えない。
また、歩きながら動画撮影すると「手振れが酷くて」使い物にならない。
動画撮影には単焦点レンズを購入する必要があるかもしれない。
ただ、高性能な「ジンバル」を使用し、動画専用機として「設定」を追い込めば、本格的な動画撮影ができるかもしれない。
当ブログの認識では「動画モード」でも一部はスチルの設定通りになるようなので、動画を撮影する度に設定を細かく変更する必要があると思う。
具体的には、被写体別にAFの速度、追従性、フォーカスリミッターなど細かく設定する必要があると思う。
結局、スチルと動画の切り替えスイッチがなく、スチルと動画の両方を簡単に切り替えて撮れるという感じではない。
やはり、スチルと動画の切り替えレバーを搭載して、スチルと動画の設定を完全に分離すべきだと思う。
完成度は80%
キヤノンR10も使用しているが、比較するとX-S20は時々フォーカスが合わなかったりする。
もちろん、画像としてはX-S20の方がいいと思う。
また、撮影してすぐに電源をオフ・オンするとスイッチが反応しなかったりするので、完成度は80%くらいだと思う。
今後、ファームウェアのアップデートで完成度を高めてもらいたい。
以前のレビュー(ファームウェア1.13)
超広角レンズでAFが合焦しない(ファームウェア1.13)
以前のファームウェアでは超広角ズームレンズ(XF10-24)を使用すると、コントラストが低い場合、ピンボケ写真が10枚中1枚くらいあった。
中央部を拡大(レンズXF10-24・ボディX-S20)
超広角レンズではX-S10よりもAF合焦精度が悪かった。
超広角レンズ(XF10-24mm)で「コンクリートのようなコントラストの低い構造物」を撮影すると、上のようなボケた写真が10枚中1枚くらいあった。
中央部を拡大(レンズXF10-24・ボディX-S20)
同じ場所を3枚~5枚くらい撮影しないと安心できない。かなり問題だと思う。
ファームウエア1.13である程度改善されたが、依然として超広角レンズではAFが合わないことがある。また、シャッターが切れないこともある。体験的には超広角レンズのAFはX-S10より悪い。
AF距離が間違っている
X-S20のAF焦点距離を確認すると、実際は2m先の白い壁だが、距離表示は「∞:無限大」になっている。
「セットアップ」→「表示設定」→「画面のカスタマイズ」→「AF時の距離指標」をチェックすると、EVFにAF距離が表示される。
設定
消費電力設定 ⇒ パフォーマンス ⇒ ブースト
これで、消費電力は多くなるが、AF速度が速くなる。
X-S20のバッテリー容量はX-S10の2倍なので「ブースト」設定でも静止画ならばバッテリー切れの心配はほぼない。
ファームウェアVer.1.20
X-S20「ファームウェアVer.1.20」
暗いトンネル内のコンクリート壁を撮影したが、AFは一応合っている。
裏面照射型センサーを搭載しているAPS-Cカメラは、X-S20とα6700くらいしかなく、キヤノンEOS R7やニコンZ50は表面照射型センサーなので、X-S20の方が2段階くらい画質がいい。
ファームウェアVer.1.20でX-S20のAFが改善したので、画質も含め総合的には静止画については「X-S20」がAPS-Cカメラ最強になったと思う。
しかし、AF自体はキヤノンEOSR10よりも性能は劣るので、さならるAFの改善をお願いしたい。
購入した感想
- APS-Cで裏面照射型センサーを搭載しているカメラは少なく、X-S20の基本性能はAPS-Cトップクラス。
- 望遠レンズ(XC50-230mm)のAF性能は、明らかに向上している。
超広角レンズ(XF10-24)では、AF性能が悪く、ピンボケ写真が多い。- 標準レンズ(XC15-45mm)の静止画なら「X-S10」と画質の差はない。
- 評価としては「4.2」
望遠レンズのAF性能は明らかに向上
X-S20・X-S10(XC50-230mm)の比較
約1km先から手持ち撮影して、約10倍拡大(レジ番号は加工)
X-S10(レンズ XC50-230mm)
望遠レンズ XC50-230mmで試し撮りしたが、同じレンズとは思えないくらいX-S20の画質が向上している。
X-S20のAF性能が向上したため、望遠撮影の画質が改善したと思われる。
望遠撮影が主要用途なら「X-S20」はお勧めです。
X-S20、α6700、EOS R7の違い
X-S20は、同じシーンを100枚くらい撮影して、その中の1枚で100点を目指す「作品撮りカメラ」だと思う。その分失敗もライバル機種と比較すると多い。
平均すると80点~90点くらいになる。
一方、α6700やEOS R7は、静止画、動画、ポートレート、風景、動き物となんでも90点~95点で撮影できる「汎用性の高いカメラ」だと思う。
したがって、運動会など一般的な用途ならば、α6700やEOS R7がいいと思う。
しかし、フジのカメラで1枚でも素晴らしい写真が撮影できると、フジのカメラが好きになる。
汎用性ならα6700やEOS R7の方がいいのは分かっているが、会心の1枚を求めて、フジのカメラで撮影したくなる。
また、α6700は軍艦型ファインダーではないし、EOS R7は重さが612g(バッテリー、カードを含む)と重いので購入しなかった。
近接撮影
X-S20(XC15-45mm)
X-S10(XC15-45mm)
X-S20、X-S10、で近接撮影をしたが、画質の違いはほとんどない。
被写体検出は実用的ではない
X-S20はオート設定で自動被写体検出をONにすると、保存に2秒~3秒かかるときがあり、シャッターチャンスを逃すことが多い。(レンズXF10-24mmの場合)
早くAF性能と保存時間を改善して欲しい。
V-logモードは一生使いません
V-logモードなんてユーチューバー以外は絶対に使わない機能を無駄につけて値段が高くなった感じ。
一部のユーチューバーの意見にすり寄って、多数の写真ユーザーの意見を無視するメーカーの態度はおかしい。
昔の日本の家電メーカーのように一生使わないような機能を搭載して、韓国や中国に負けたのと同じようになるのではないか?
深度合成機能を搭載すべき
V-logモードよりもフリマ用の撮影にOMDS機(旧オリンパス)に搭載されている「深度合成機能」があれば助かる。
X-S20を購入した理由
ボディの重さ500g以下、軍艦型EVF搭載、超広角レンズ(換算15mm)をアダプター無しで使用できる、グリップが深いという条件からX-S10を購入した。
2023年7月時点でも、上記の条件を満たすのはX-S20くらいしかない。
(キヤノンR8はフルサイズだが重さ461gと軽量でいいと思ったが、バッテリー容量が少なく、ボディ内手振れ補正も非搭載なので購入しなかった。)
X-S20
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以下は購入直後の記事
X-S20の基本スペック
X-T5は、APS-C規格のスチール用のフラッグシップカメラであり、有効画素数は約4,020万画素となっている。
一方、X-S20は、エントリー~ミドルクラスモデルであり、X-T5との差別化という点から、X-S10と同じ2,610万画素のままとなる。
但し、最新の画像エンジン「X-Processor 5」を搭載している。
バッテリー強化
X-S20はX-T5と同じ大容量の「NP-W235(79g)」を搭載する。
X-S10のバッテリーは「NP-W126S(47g)」で、互換性はない。
重さ
X-S20は491g(バッテリーとSDカード込み)となる。
ちなみに、キヤノンR7の重さは612g(バッテリーとSDカード込み)で、X-S20の方が121g軽い。
被写体検出
- 鳥
- 動物
- クルマ
- バイク&自転車
- 電車
- 飛行機
autoモードでは、上記の被写体を自動的に認識する。
VLOGモード追加
モードダイヤルに「VLOGモード」を追加する。
- 商品紹介モード
- 背景ぼかしモード
動画機能を強化
動画も4K30Pから4K60Pへと強化される。
6.2K30Pにも対応し、4:2:2 10bitで内部収録ができる。
冷却ファン
冷却ファン「FAN-001」に対応する。
SDカード
UHS-IIに対応し、より高速で記録できる。
価格
- X-S20(ボディ単体):約18.4万円
- X-S20(+XC15-45):約20万円
実際に購入しました
目視でも触ってもX-S20とX-S10と違いが全く分からない。
実際にX-S20とX-S10で静止画(標準レンズ)を室内で撮影してみたが、違いは全くない。
一方、望遠撮影(飛行機)ではあきらかに画質が向上している。
X-S20とX-S10は同じセンサーで画像エンジンが「X-Processor 5」になったので多少なりとも画質の向上があると思ったが、静止画(近接撮影)では全く違いはない。
当ブログの推測
X-S20のセンサーはX-S10と同じなので静止画(標準レンズ)の画質はほぼ同じ。
(映像エンジンは最新のX-Processor 5になったが、静止画ではあまり画質の向上がないと思う)
しかし、AF性能が向上したため、望遠撮影(飛行機)でピントが速く合焦するようになったと思う。
そのため、望遠撮影(飛行機)ではX-S10よりも明らかに画質が向上している。
しかし、広角レンズではAF性能が逆に悪くなった感じがする。
総合的に言うと、FUJIのAF速度は、ニコンのZ50をちょっと追い越した程度で、ソニーのα6700やキヤノンのEOS R7には及ばない。
ニコンのAPS-Cカメラ「Z50」でも撮影したが、「X-S20」「X-S10」と画質の違いはほとんどない。
OM-5ならば「深度合成」できるので、画質はOM-5の方がいいと思う。
コメント
風景やテーブルフォトなどの静止画を撮影するなら、X-S10からX-S20に買い替えるメリットは画質の点ではあまりない。
しかし、バッテーリー容量2倍というメリットはある。
ただ、X-S10でも静止画500枚を撮影できるので、X-S10で十分な性能だと思う。
個人の感想だが、望遠レンズのAFが多少速くなっているので「動きもの」「運動会」「望遠撮影」がよくなっているが、ソニーやキヤノンの最新APS-C機には及ばない。
ただし、望遠撮影時のAUTOモードでは保存に時間がかかるので、使い勝手が悪い。
(設定で速くなるかもしれないが、デフォルトでは保存に時間がかかる)
バッテリー
X-S20はバッテリーを強化して、X-S10の2倍の静止画が撮影できる。
公式には「静止画325枚から750枚」へ大幅に増加している。
経験上、X-S10も電源をこまめに切れば500枚は撮影できるので、X-S20はその2倍の1,000枚くらい撮影できると思う。
静止画がメインならばX-S10でも500枚撮影できるので、敢えてX-S20に買い替えるメリットはないと思う。
背面モニタはX-S10の104万画素からX-S20は184万画素に向上しているが、見た目は明確な違いはない。
結論
X-S20で撮影すると、望遠キットレンズ「XC50-230mm」の画質が向上している。
今までは、望遠はZ50で撮影していたが、X-S20+「XC50-230mm」の方が画質はいいかもしれない。
したがって、X-S20だけで超広角から望遠まで1台でこなせるようになった。
機材を統一できるので、旅行の時にX-S20だけ持っていけばいい。
そういう点で、買い替えたメリットはあると思う。
ただ、ソニー α6700 ボディ [ILCE-6700]も気になる。
しかし、ソニー α6700 ボディ [ILCE-6700]は軍艦型EVFがないので、野外の撮影が多いため購入しないと思う。
X-S20のスペック
機種 | X-S10 | X-S20 |
有効画素数 | 2610万画素
(X-Trans CMOS 4センサー) |
2610万画素
(X-Trans CMOS 4センサー) |
測距点 | 425点 | 425点 |
画像処理エンジン | X-Processor 4 | X-Processor 5 |
シャッタースピード | 1/4000秒(メカ) | 1/4000秒(メカ) |
EVF | 236万ドット(0.39型有機EL) | 236万ドット(0.39型有機EL) |
背面モニタ | 104万ドット(3インチ) | 184万ドット(3インチ) |
記録メディア | SDカード(UHS-Ⅰ) | SDカード(UHS-II) |
バッテリー | NP-W126S | NP-W235 |
動画 | 4K30P(連続30分) | 4K60P
6.2K30P |
手振れ補正 | 6段 | 7段 |
質量 | 465g(バッテリー、 SDメモリーカード含む) | 491g(バッテリー、 SDメモリーカード含む) |
発売・発表日 | 2020年11月19日発売 | 2023年6月29日発売 |